中島司有書作展のあゆみ

中島司有先生は、生前20回の書作展(個展)を開催しています。
このページでは、その20回の書作展を顧みます。

各回展とも、左から作品集の表紙・タイトルとテーマ・会期・会場・展示風景・概要です。
「画像捜索中」のところは、当時の会場風景などの写真を探しています。
現代書道研究所の会員の方で、当時の写真をお持ちの方は、現代書道研究所事務局までお知らせください。

 


第1回 中島司有書作展
昭和48年1月9日から15日まで、上野の森美術館で開催。

  

これまで休むことなく研鑽を重ね、書きためていた作品200余点を展示。一人で、上野の森美術館全館を使用しての展覧会は、個展史上稀であり、現代書壇から注目を集める。
油彩マチエール「天地創造」「溶岩」・油彩「宇宙葬」「邪宗門秘曲」「硝子切る人」・水彩「薔薇」・ろう染「金魚」・紫紙金泥「妙法蓮華経属累品」・躍動をもたせた「長恨歌」・古典的かな作品「新撰朗詠集-夏」・詩文「原民喜詩」「山川登美子歌」・心を墨で表現した「心象」と、作品の題材・表現に用いる素材や手法など多種多様広範にわたり展示。
高松宮妃殿下のご光臨をいただく。


第2回 中島司有書作展
昭和49年1月9日から15日まで、上野の森美術館で開催。

  

色紙に金泥で書いた細楷書「新月」「愛蓮説」・油彩マチエールを使った「氷壁」「怒涛」「華厳」・縦1m20cm×横3mに大字の「疾風怒涛」・中字楷書「賦葉落庭柯空」・臨書作品「賜弁帖」・自詠歌「阿修羅讃歌」など、新作200点余りを展示。


第3回 中島司有書作展
昭和51年1月9日から15日まで、上野の森美術館で開催。

       

発泡スチロールを使った縦180cm横8mの「珊瑚礁」は書道界空前の立体構成作品として話題を集めた。
「妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五」・菅原道真詩「叙意一百韻」の紫紙金泥作品。林芙美子詩「黍畑」(450cm)・峠三吉詩「ちいさい子」(840cm)・「耶律楚材詩翰」(5m40cm)など大作を中心に展示。
高松宮妃殿下のご光臨をいただく。


第4回 中島司有書作展
わが修羅業の総集編
昭和51年1月9日から15日まで、上野の森美術館で開催。

   

過去3年間の総集編として、内容を分類し、各コーナーごとにテーマを掲げて展示した。
「司有−文芸との出会い」では、今までに共感した文芸作品を素材とした書作品を展示・「司有―人との出会い」では、過去においてその人柄を慕った方、また巡り会った方の文芸を展示・展示・「司有―開拓」では、歌や蝋染めの小品をあつめて展示・「司有―平和への祈り」では、原爆を訴えた詩や謹厳な写経をまとめて展示・「司有―心象」・「司有―旅情」では、韓国訪問の時の自詠歌や取材旅行した時の作品などを展示・「司有―訪古」では、文字発生の原始時代から中国の古典・日本の古典の臨書などの多様なテーマの作品群を展示。


第5回 中島司有書作展
高松宮妃癌研究基金事業奉賛
昭和52年3月10日から15日まで、東京池袋東武百貨店8階催事場で開催。

     

高松宮妃癌研究基金事業奉賛の精神のもとに、癌制圧・癌撲滅を目指す社会運動を起こすことを目的に行う。基金を募るために、会場内で席上色紙揮毫会を開く。高松宮妃癌研究基金の一助として150万円を献納。
高松宮妃殿下のご光臨をいただく。
NHKスタジオ102放映。色紙代表作の油彩マチエール「氷壁」「溶岩」・水彩の「薔薇」「中城ふみ子歌」・発泡スチロールに書いた「林芙美子詞」蝋染めの「青春」・心象・長瀞の石を使った造型など、在来の「書道」の観念を打ち破る作品群と、日本で唯一人の天皇陛下の祐筆をつとめる証しとなる紫紙金泥の法華経など10点をスタジオに陳列し、司有の書の考え方、未来の書のあり方を説く。
小室徳先生作成の貴重な写経用紙に書いた「妙法蓮華経薬王菩薩本事品」(7m)を展示。
村田英鳳画伯との協作で「りんご追分」など10点を展示。


第6回 中島司有書作展
母をテーマとして
昭和53年11月2日から7日まで、東京池袋の東武百貨店美術サロンで開催。

  

昭和53年に母が他界す。その追悼展として、テーマを「母」に限定して行う。
中国の孟子の母の挿話「孟母断機」「孟母三遷」を楷書で、伊勢物語の業平の母との贈答歌は古体のかなを交えて表現。
百日法要のために書いた、紫紙金泥の「仏説阿弥陀経」「心経」も展示。


第7回 中島司有書作展
昭和55年7月12日から19日まで、東京銀座和光ホールで開催。

  

和光ホールでは今回が初めての開催である。
銀座通りの第ウィンドーに、縦1m21cm×横3m93cm、紫紙に金泥で書いた「妙法蓮華経如来神力品第二十一」の細楷書5375文字の写経を飾り、意表をついた作品に道行く人の注目を集めた。
また、明治神宮鎮座60周年を奉祝して、「明治節の歌」を紫紙金泥書き、この展覧会後、明治神宮に奉納。


第8回 中島司有書作展
書とよそほい
昭和56年9月3日から10日まで、東京銀座和光ホールで開催。

  

展覧会の顔ともいうべき和光のウィンドーには、縦2m28cm×横1m82センチのキャンバス2枚に、油彩マチエールを使った「氷壁」「怒涛」の作品を配置。
「書とよそほい」をテーマに、企画・構成・額装の多門堂会長岡村辰夫先生のご協力により、書と装との調和がとれた展示となる。


第9回 中島司有書作展
愛をテーマとして
昭和57年9月3日から10日まで、東京銀座和光ホールで開催。

  

大ウィンドーには、縦1m80cm×横2m10cmの画仙紙に、歐陽詢の正楷書1071文字に及ぶ「九成宮醴泉銘」を臨書したものを展示。
岡宮鋳造所の制作協力で、「殷代の金文」と北原白秋「邪宗門扉銘」、高村光太郎歌「何ゆゑの涙と問ふな君が頬の痩せしもわれは問はであらむに」の3点をブロンズに仕上げる。万葉集の歌の中から、額田女王・天武天皇の贈答歌や山上憶良の歌など、愛をテーマとした歌を選んで書いた。「九成宮醴泉銘」をはじめ、「孔子廟堂碑全臨」「孟法師碑全臨」「大安寺碑文」など、楷書の大作を展示。


第10回 中島司有書作展
歴史に素材を求めて
昭和58年9月3日から10日まで、東京銀座和光ホールで開催。

         

1m80cm×横90cm、厚さ50cmの発泡スチロール4枚に深彫りした、「城砦」の壮大な2文字が和光のウィンドーを飾った。
「古代から未来へ、流れてやまない『歴史』を綴るのは、結局『人』。聡明で、誠実で愛にみちた『人』によって『歴史』は記録され、新しい時代の糧となってゆく。深く歴史を見つめ、その歴史を記録する文字の恐ろしさを知り、文字を書いて遊んでいるような書家の領域を離れ、本当の記録を担当してゆきたい」これが、今回書展のテーマであった。
歴史的に最も古い時代では、アフリカ・サハラ砂漠中央部、タッシリ・ナジェール山脈の岩肌に残されている数万点の彩画と刻画の中から、発泡スチロールの上に、水彩で表現した作品と、茶色・緑色の色紙に原始人の生活を表現した作品。その他、グデアの円筒銘文・楔形文字を金泥で表現したもの。油彩で甲骨風の景象を背景として、甲骨文字を配した甲骨心象。周代昭王時代の器の銘文をブロンズで再現したもの等の作品群を展示。


第11回 中島司有書作展
花をテーマとして
昭和59年9月4日から11日まで、東京銀座和光ホールで開催。

         

大ウィンドーには、平安時代の王朝の世界を再現する、六曲屏風に「源氏物語」の明石の場面を書いた作品を展示した。市丸深花画伯に、美しい十二単の明石の姫が琴の音を奏でるようすを描いていただいた。それは書と画とが渾然一体となって、平安王朝の息遣いを静かに伝えている。
昭和21年春に書いた「ああ大和にしあらまかしかば」は、料紙に古体かなを入れて書き、漢字の横には読みやすいようにと朱でかなをふる。昭和23年1月に書いた「みだれ髪抄」とその後書いた「金鈴抄」は、田中親美先生がお作りになった料紙を使った。昭和23年から24年にかけての過渡期的な作品として、いわゆる写経体から正楷書に近い作品に転じようと工夫して書いた「妙法蓮華経授記品第6」、その他、昭和26年日展入選作「常不軽菩薩品」、昭和27年秋の「讃酒歌」などの青春時代の思い出の作品を展示。「万葉花譜」では、下絵を市丸深花画伯に描いていただき、万葉集の中から四季折々の花を題材にした歌を書いた。


第12回 中島司有書作展
道をテーマとして
昭和60年9月2日から7日まで、東京銀座和光ホールで開催。

  

和光のウィンドーには、「朱鷺衰滅を憂ふる報道に接して」と題した自詠歌11首の作品。
縦70cm×横3mの紫紙に金泥で書いた。
60年5月のヨーロッパの旅で大きな収穫。「エーゲ海の風」「ペテロ殉教」の自詠歌の作品を発表。この他、クレタ島の古代文字の印象を皮に金・プラチナ・銀を使い表現したもの、エーゲ海の浜辺の貝殻にジャン・コクトウの詩を、アテネ神殿の石には八木重吉の詩を書き、素材とことばの一体を図る。


第13回 中島司有書作展
希望をテーマとして
昭和61年9月1日から6日まで、東京銀座和光ホールで開催。

      

ウィンドーを飾ったのは、「稲荷山古墳鉄剣銘」。昭和43年稲荷山古墳から出土した鉄剣に、115文字の黄金の文字が象嵌されていたことが発見され、資料が公開された。それをキャンバスに、油彩で鉄剣の古びを出し、金泥で克明に模写したものである。
「説文解字叙」の篆書は、縦1m60cm横6mの大作。「舞賦」は黄金色の絹に千字余りの楷書作品。「金人銘」は25歳の時の作品。
スウェードに金泥を用いた「侯馬盟書」、水彩に墨を混ぜて表現した「内蒙古狼山壁画」など、中国古代の文字を素材や手法をかえて表現した。


第14回 中島司有書作展
晨をテーマとして
昭和63年1月7日から14まで、東京銀座和光ホールで開催。

       

正月の銀座和光のウィンドーを飾ったのは、緊迫、銀箔がほどこされた縦横20cmの色紙に濃墨で、「壽」の文字を篆書で100体書いた「百壽」の作品である。
千字におよぶ王子淵作「洞簫賦」(縦1m80cm×横1m80cm)や、500字におよぶ宋玉作「風賦」(縦1m80cm×横1m80cm)などの楷書作品の大作を展示。
1m80cm平方の紙3枚に「?凱風」の3文字を大きく書いた作品から、13cm平方の料紙に49文字の楷書を書いた作品まで、多種にわたり展示。


第15回 中島司有書作展
海をテーマとして
平成2年3月28日から4月1日まで、上野の森美術館全館で開催。

  

中島司有の15回記念の書作展として、上野の森美術館全館を使用。
篆書・隷書・楷書・行書・草書、各体の作品、また、立体・油彩・コラージュ・染色等の作品。自詠の詩・歌・句など、思い切った文字とことばの書表現を試みる。


中島司有書作展 関西展
併催 現代書道研究所コートダジュール帰還展
平成3年8月19日から22日まで、兵庫県民会館アートギャラリーで開催。

  

中島司有の個展といえば東京では、銀座和光や上野の森美術館全館を使用しての超大作を含めた大個展として関東では多くの人たちに知られているが、関西ではなじみが薄かったが、全日本美術新聞社の協力を得て、関西で初開催。
同年3月にフランスでの「現代書道研究所コートダジュール展」の帰国報告展(約90点)を併設して、
司有の代表作80点を展示する関西での初個展となった。関西は、読売系・日展系の書道団体が多く、毎日書道展審査会員の中島司有の名を知らない人も多かったが、会場に所狭しと並べられた作品群に驚かされ、興味深げにのぞき込んでいた。地元マスコミでも話題となり、関西展での成功を受けて、翌月の池袋での文学博士受理記念個展へのステップとなった。


第16回 中島司有書作展
文学博士受理記念
平成3年9月1日から6日まで、東京芸術劇場5階展示ギャラリーで開催。

        

中島司有の母校、國學院大學より文学博士の学位を取得した記念として行う。
司有の自詠の詩・歌・句などを中心に、大小作品90余点を展示。司有が作ったことば「創成睦乎」(縦1m80cm×横3m60cm)の大字作品や、自詠の歌で「昭和天皇崩御の日謹詠」(縦1m×横6m)などの大作を発表。また、世界各国の古代文字を集め、その文字にあった素材を使いながら、「書」を表現したものを多数展示。


第17回 中島司有書作展
愛の交信「あなたが好きです」
平成4年9月1日から5日まで、吉井画廊で開催。

     

「世界中の人々がお互いに『あなたが好きです』と言い合えたら、すばらしい明日が来るにちがいない。」世界中の『あなたが好きです』の文字表現をあつめて、司有が書作を試みた。日本に大使館を置く116カ国に手紙を書き、それにもとづいて作品制作をした。8月31日のレセプションでは、18カ国の大使公使が出席され新しい平和活動として高く評価された。


第18回 中島司有書作展
書業60年記念
平成4年11月30日から12月5日まで、東京芸術劇場で開催。

  

中島司有の書業60年を記念して、漢字作品に焦点をしぼり、篆書、隷書、楷書、行書、草書の作品約100点を展示する。


第19回 中島司有書作展
芸術選奨文部大臣賞受賞記念
平成5年9月11日から15日まで、東京芸術劇場5階展示ギャラリーで開催。

    

平成5年3月18日に芸術選奨文部大臣賞を受賞、その記念展として開催。
高円宮憲仁親王妃久子殿下と承子女王殿下のご光臨をいただき、オープニングのテープカットをしていただく。


中島司有書作展 九州展
芸術選奨文部大臣賞受賞記念
平成5年11月13日から23日まで、太宰府天満宮宝物殿で開催。

  

平成5年3月18日に芸術選奨文部大臣賞を受賞、その記念展第2弾として、福岡県太宰府市の太宰府天満宮宝物殿で開催。
司有のこれまでの書学と書業を文道の神様、菅原道真公に報告したいとの思いが実現した。菅原道真公の漢詩作品を中心に、43点を展示。展覧会を記念して、菅原道真公が、この大宰府にあって心のすべてを述べたといわれる「叙意一百韻」を太宰府天満宮に奉納した。
初の九州での「中島司有書作展」は、九州の新聞各紙やNHKテレビでも取り上げられ、九州の書道愛好家からの問い合わせが殺到し、大きな話題となったため、会期が12月12日まで延期されるという、太宰府天満宮宝物殿はじまって依頼のこととの報告があった。


第20回 中島司有書作展
平和へ 時空を超える思索と造型
平成7年12月16日から21日まで、上野の森美術館で開催。

              

5年ぶり、6度目の上野の森美術館全館を使用しての大展覧会である。
戦後50年、平和を願い続けながら書きこんできた作品の数々。峠三吉の原爆詩「ちいさい子」「墓標」など大作をはじめ、約200点を展示。
書道展では初めての、オーディオガイドの導入も話題を呼んだ。特定の作品の前に立つと、その作品解説を元NHKアナウンサーの司有本人の声で流れるもので、まさに、「文字とことばの造型」に相応しい書作展となった。
高円宮憲仁親王妃久子殿下と承子女王殿下のご光臨いただく。


中島司有書作展
多胡碑記念館開館記念企画展
平成8年4月27日から5月29日まで、多胡碑記念館展示室で開催。

  

多胡碑記念館会館記念として、同館企画で、日本・中国・ヨーロッパの古代文学を中心に、約60点を展示。


 

中島司有書作展2008

現代書道研究所ホームページ